紫イペ情報館

学術研究

イペの抗腫瘍細胞の特性

1998年9月30日~10月2日
第57回 日本癌学会総会 (横浜)

金沢大がん研究所 助教授 坂井俊之助

日本癌学会発表データ

演題:紫イペエキス(学名タベブイア・アベラネダエ)の薬効

金沢大学がん研究所 助教授 坂井 俊之助

パネル1

FMマウスのウィルス乳癌発癌をほぼ完全に抑制する。

紫イペエキスを摂取したFMマウスのウィルス乳癌発癌は、80匹中4匹(パネル1)に小さい腫瘍塊が認められたにとどまり、著しく抑制された。FMマウスは通常飼育条件下(紫イペエキス摂取なし)では雌雄ともに生後6ヵ月位から乳癌を多発し1年以内ではほぼ全例(本実験では94.7%)に腫瘍の発生を認め腫瘍死する。
FMマウスをSPE条件下(特定病原菌、ウィルス除去)で飼育すると乳癌の発生は認められず、FMマウスの乳癌発症はウィルス感染によるものであるという結果が、他の研究者によって明らかにされている。

 

パネル2

 

FMマウスの乳癌発癌個体に紫イペエキスを投与すると、腫瘍の増殖抑制および延命効果が認められた。

すでに発癌し、腫瘍塊の大きくなったFMマウスでは、増殖抑制があるかどうかを発癌個体を集め紫イペエキスを摂取させた。
通常は6ヵ月令から1年以内に全て発癌死亡するが、パネル2のように紫イペエキスを摂取させた個体は約1年延命し、腫瘍塊の増殖もなかった。

 

 

パネル3

試験管内での培養腫瘍細胞の全てに傷害活性を有する。

試験管内で、紫イペエキスはどのように細胞死傷害性を持つかを検討した。
パネル3に示すように培養腫瘍細胞の全てに傷害活性を有し、ヒト・マウスを問わず種特異性は認められなかった。しかも、正常ヒト、およびマウスリンパ球にはまったく傷害活性はなかった。

 

 

パネル4

紫イペエキスは分裂活発な細胞を傷害する

パネル4の示すように紫イペエキスはLPSおよびConAで誘導されるリンパ球の幼若化を完全に阻害する。幼若化反応が阻害されるより、生じたブラスト化細胞を傷害する。したがって紫イペエキスには正常細胞および腫瘍細胞の分裂期に特有な系と反応する物質を含んでいると考える。

 

パネル5

 

肝癌細胞皮下移植による紫イペエキス投与群と非投与群の比較

紫イペエキスを2週間投与したマウスと非投与の正常マウスの皮下に肝癌をそれぞれ移植した。移植後1ヵ月目にマウスの腫瘍塊を切り取り重さを計ったところ、非投与群で11.4gとかなり肥大していたが、紫イペエキス投与群では1g以下の腫瘍塊にとどまった。
また、非投与群では形成された腫瘍塊に明らかな血管形成が肉眼にも多数観察されたが、紫イペエキス投与群では直径2mm位の小さな腫瘍が数個集まって1つの腫瘍塊を形成しており、腫瘍塊自体は白く新生血管の兆候は認められなかった。

 

パネル6

 

肉腫細胞皮下移植による紫イペエキス投与群と非投与群の比較

肝癌の皮下移植と同様に、肉腫細胞をマウスに皮下移植して肉腫の成長を観察した。
肝癌の場合と同様に、やはり紫イペエキス投与群、非投与群では差が見られ、紫イペエキス投与群では3g前後の肉腫でとどまったのに対し、非投与群では最大23.1gの肉腫が確認された。

 

パネル7

紫イペエキスによるNK細胞活性

マウスに紫イペエキスを注射しました。
紫イペエキスの注射回数によってNK(ナチュラルキラー)細胞活性が上昇するのが判ります。

 

第57回 日本癌学会総会 記事

2231  イペの抗腫瘍細胞の特性:坂井俊之助¹
松井泰子¹ 氏家俊光²(金沢がん研・免生・化療)
Unique Characters of IPE (Tabebuia avellanedae) against antitumor activities : Shunnnosuke Natsuume SAKAI¹,Hiroko Iwashita MATSUI¹ ,Toshimitu UJIIE² (¹Dept of Immunobiolo, ²Dept of Chemotherapy,Cancer Res,Inst Kanazawa Unive)

イペの抗腫瘍性についてはウイルス発癌、ヒトやマウスの種々の腫瘍細胞、および分裂活発な細胞に大きな傷害性を持つと考えた。我々は現在作用機作を解明すべく有効物質の分離中である。また本年は移植系癌を用いてその有効性を解析した。

継代移植株MH134皮下移植において1)正常群2)移植と同時にイペ摂取開始3)3移植前よりイペ摂取開始、以上の3群に分け検討した。MH134皮下移植により1か月後に直径0.5cm、2gの腫瘍魂が形成されたが正常群ではさらに1か月後に最大直径3cm、20gに肥大した。これに対しイペ移植前より継続摂取した群では肥大はほとんど見られなかった。同様な作用はBALB/cを用いたMeth-A肉腫でも観察された。

これはイペが昨年度報告した分裂盛んな細胞に傷害活性を有するという事から移植腫瘍への栄養補経路血管新成阻害によるものと考えている。なお、イペの長期債取マウスの肝RNAをノーザンで検討したが異常は認められなかったためイペによる肝障害の可能性はないと考えている。

現在、原発肝癌が多発するとされているC3H/Hejマウスを用いてイペの肝癌抑制を検討中である。